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221-1
作者:石黒由美子  出版社:日本放送出版協会  出版年:2010年8月 

『奇跡の夢ノート』

小学2年生の少女に突如突き付けられた残酷な現実! そこから彼女は・・・

「冒頭部分」より
その車は、アクセル全開で突っ込んできた。
ドンッ!
グシャ!
突然の衝撃に私の体は跳ね上がり、頭からフロントガラスに突き刺さった――(以下略)。

「悪夢の交通事故」の章、「7時間の大手術」より
(受け入れ先がなく、事故からおよそ1時間後にようやく)搬送された先は、愛知県内の某大学病院。差し伸べられた医師の手は、さながら地獄に垂らされたクモの糸だ。それは、強靭な数本が絡み合った糸だった。
事故があったその日、病院には、外科医、脳外科医、皮膚科医、形成外科医、眼科医など、各分野の医師が揃い、中でも形成外科の先生は、皮膚外科の名医として知られていた。救急スタッフから連絡を受けた医師たちは、特別チームを組むことを決め、病院に到着した私をただちに手術室に運んだ。
どうか娘の命を助けてください。命だけは――。
手術室の扉に向かって母は祈った。祈り続けた。
手術時間は7時間に及んだ。
地獄の底から救い出されるかどうかは、糸を掴む人の行い次第だという。私の場合は、垂らしてもらった糸の強さが幸いした。ただ、命を取り留めたことだけが、幸いだった。
顔面粉砕骨折、眼球打撲、網膜剥離、手脚の骨折。
右の頬は、口裂け女のように耳までザクリと裂け、顔だけで540針、口の中は260針も縫う大手術だった。
「顔中の神経が断裂しており、深い傷が残るでしょう。表情を作ることも難しいかもしれません。右目は瞼が攣れ、開いたまま閉じることができなくなる可能性があります。言語障害など、他にもさまざまな障害が出てくることを覚悟しておいてください。普通の暮らしに戻ることは望めないかもしれません」
残酷な現実を医師につきつけられ、母は絶句した。